私、4千万円、損しました。(トホホの体験談)

バブル、バブル、バブル。

泡、泡、泡。

私にとっては、思い出したくもない嫌な言葉です。

 

 

景気が良かったころ、「バブル」という言葉はありませんでした。

好景気がずっと続くと誰しもが思っていました。

 

景気が悪化した途端に、「バブル」という言葉が生まれました。

 

社宅について

 

1980年代の終わり、バブル景気真っ盛りのころの話です。

今は退社した、ある会社には社宅が一棟ありました。

14家族分の部屋があり、家賃は周辺の相場の3分の1くらいだったと思います。

 

「会社での職制の上下関係が社宅での付き合いにまで持ち込まれるので、社宅は息苦しいものだ」としばしば聞いていました。

しかし、この社宅は皆が気さくでフランクで良い距離で付き合っていました。

ですので、10年以上入居している社員も多かったです。

 

 

当時会社は新しい分野に進出しようとしていましたので、例年の数倍の社員を一挙に採用した年がありました。

すると、「私も家賃が安い社宅に入居したいのに空きがない。すでに入居している社員と今回入社した我々とは福利厚生が不平等だ。会社は、住宅手当を出してくれるか、新しい社宅を作るべきだ」という声が新入社員からふつふつと沸き上がりました。

しかし、今後の事業展開に必要な財務を考えると、福利としての住宅手当制度を作る余裕もなければ、ましてや社宅を購入するなりレンタルする余裕は会社に一切ありません。

にもかかわらず、新入社員から担当者への突き上げは一向に収まる気配を見せません。

 

 

そこで、人事担当者はどう考えたか?

新入社員を住まわせる余地を作るため、社宅に住んでいる社員を退去させようとしたんですね。

とは言っても、そこそこの役職についている入居者や激しく反論しそうな入居者に対しては、退去するようにと担当者は言うことはできませんでした。

かといって、主張が激しい新入社員に対して、毅然と反論し納得させる技量も出来なければ、うまく丸め込む度量も担当者にはありません。

そこでお鉢が回ってきたのは、役職についてなく従順そうな社員です。

もう、お分かりでしょう。

そのターゲットが私でした。

「内の社員も他社の社員も、会社員というものは住宅を購入するか給料から賃貸料を払って生活している」
「君は30歳を過ぎても、住宅費を会社に頼って生活している」
「いつまで、会社にしがみついて社宅で生活するつもりだ」
「社宅を出て、自分の給料から住宅費を払って自立しなさい」

こう言って責められたのは、もちろん昼の仕事中ではありません。

飲みに行こうと誘われ、のこのこと着いて行った居酒屋でです。

正式な退去要請はさすがにまずいので、酒の場での雑談という形を取りたかったのでしょうね。

 

 

反論?

もちろんしました。

でも、話しているうちに、怒りよりも情けなさが先に立ちました。
こんな不条理な理屈と脅しをする担当者と、こんなやり方がまかり通る職場のあり方が情けなくってね。

 

 

結果として、私は社宅を退去することを選びました。

引っ越し日の作業中、
「この作業が退去ではなく、入居の作業だったらどんなに良いことか」と感じていました。

「そんな会社、辞めればいいじゃないか」というふうに思われた方もいらっしゃると思います。

でも、子どもが産まれたばかりでしたので、そして仕事自体には不満がなかったので、転職は全く考えませんでした。

 

退去前の不動産探しについては、次章にて。

 

不動産店との相談

 

時は、後年言われるところのバブル景気、真っ最中。

不動産の価格が急上昇していることは、ニュースやワイドショーで連日のように取り上げられていました。

 

 

バブルのこんな時ですから、賃貸物件に引っ越そうとするのが通常だと思います。

しかし、その頃は頭がカッカとしていましたので、賃貸ではなく購入を考えました。

近所に不動産店がありましたので、まずは相談と思い店内に入り、最近の不動産の現状を尋ねました。

店長が言うには、

「初めての不動産購入はマンションが何かと便利ですよ。家族が増えて引っ越したい時には、マンションの方が売りやすいですから」。

「今は確かに価格が高騰していますのでいずれは下落するのではないかと心配する方もいます。しかし、そんなことはありえません。融資先の銀行を政府が守るからです。今の価格が下落するときは日本経済が破壊されるということですから、そんな状況を政府が放っておくはずがありません」。

「これからまだまだ価格が上昇すると、手が出なくなりますよ」。

 

冷静に判断すれば、店長のこの理屈は売買する業者にとって都合の良い内容です。

しかし、当時の私は「今が購入の時だ。今を逃すと一生購入できなくなる」と思い込んだのです。

全くのお馬鹿さんですね。

結局は、銀行融資審査が通りそうな価格帯だった中古マンションを春に購入しました。

価格の3分の1にあたる頭金は、高騰が続いていた株式をすべて売ることでなんとか用意しました。

マンション価格の下落

 

春から秋までは、購入時の不動産相場が続いていました。

しかし、取引実績は急減したと聞いてはいました。

 

そして、冬。

新聞の折り込み広告をみると、自分のマンションの一室が売りに出されていました。

売り出し価格は、私の購入価格の3分の2。

頭金分が1年弱で消えたことになります。

 

気持ちが萎えました。

日常のお金に関する全てのことに興味が失せました。

反面、日本経済の仕組みに対しては関心が湧いてきました。

 

 

そして、春。

マンション入居から1年です。

広告で知る売り出し価格が、購入価格の半値になりました。

 

数年が経ち家族が増え、広めの中古マンションに引っ越すことにしました。

住んでいたマンションを売り出しても買主がつかないだろうと見越して、不動産会社に買い取ってもらうことにしました。

買取価格は、購入価格の3分の1以下。

値下がり分、銀行に払った利子、各手続料金、、、。
これらを足すと、おおよそ4千万円の損失です。

(この数年間分の家賃が不要でしたので、その分を4千万円から引くと、3千万円ほどの損失という計算もできます)

 

 

トホホ!

 

(勤めていた会社に配慮し、事実に若干の脚色を加えて書きました)